消費者向け製品用の認証原料の調達には複数の方法があります。企業が認証農場から購入した原料を、サプライチェーン全体を通じて非認証原料と物理的に分離して保管することを、私たちは調達の「分離方式(SG)」と呼んでいます。企業が「マスバランス(MB)」の調達を選択した場合、サプライチェーン上や最終製品の生産工程のどこかで、認証原料と非認証原料は混合されます。
分離方式(SG)とマスバランス方式(MB)の両方に賛否がありますが、いずれも生産者への影響は同じであることに注目することが重要です。どちらの方法でも、企業には製品に必要な量の原料を認証農場から購入することが求められています。こちらの動画でマスバランス(MB)の考え方を説明しています(英語)
マスバランス方式(MB)の調達に関して、最もよくある質問への私たちの回答は以下の通りです。
マスバランス(MB)とは何ですか?どのような仕組みでしょうか?
マスバランス(MB)とは、 輸送や製造の過程で、認証原料と非認証原料が混合されることを認める調達方法です 。その効率の良さから、カカオ業界では最も多く利用されている方式です。レインフォレスト・アライアンス認証プログラムに取り組んでいる企業は、オレンジ果汁、パーム油そしてココナッツ油の調達にもマスバランス(MB)を利用することができます。全ての主要な国際的持続可能性の取り組み(イニシアティブ)では、何らかの形のマスバランス(MB)を利用しています。
認証マークの使用
このマスバランス方式(MB)では、例えばチョコレートバーの場合は、レインフォレスト・アライアンス(またはUTZ)認証農園から購入したカカオの総量が、製品の製造に使用したカカオの総量に相当する場合にのみ、その製品にレインフォレスト・アライアンス(またはUTZ)認証マークを表示することができます。要するに、そのチョコレートバーに入っているカカオ1グラムごとに、1グラムのカカオが認証された農園から購入されたものであることが確認できます。
なぜマスバランス(MB)を利用するのか?
マスバランス(MB)は、企業にとって分離したサプライチェーンを構築するよりも利用しやすい方法であるため、持続可能性を向上そして拡大させるために適した方法です。非認証原料から認証原料が分離して保管されることから、レインフォレスト・アライアンスでは企業に分離方式(SG)の調達を奨励しています。場合によっては、分離方式(SG)では最終製品の中に含まれている認証原料を、その原料が栽培された農場まで追跡することが可能です。これを、「分別生産流通管理(IP)方式」と呼んでいます。他の場合では、複数の認証農場で生産された原料をサプライチェーン上または製造工程のどこかで混合することもできます。この分離方式(SG)の調達はコーヒーや茶類などの認証製品で一般的に利用されています。
より多くの企業が認証原料を購入
マスバランス方式(MB)の調達は、一部のサプライチェーンが複雑なため分離方式(SG)が実現可能な選択肢ではない場合の良い方法です。例えばカカオ業界では、カカオ豆は一般的にまとめて(バルクで)供給され、出荷時や製造時に混合されるため、認証カカオと非認証カカオを分けて保管することができません。
カカオ、オレンジ果汁、パーム油、ココナッツ油のようないくつかの製品では、分離方式(SG)の高い経費(分離タンクやサイロなど)は、自然を保護し、生産者やその家族の生活を向上させるより持続可能な農業慣行への投資という、生産者が最も重視している課題への取り組み資金を流用することになってしまいます。そこで、企業がレインフォレスト・アライアンス認証農園のカカオを(さらに)購入する方向に移行するよう働きかけるため、レインフォレスト・アライアンスではマスバランス方式(MB)の調達を提供しています。
より多くの生産者が利益を得るように
マスバランス方式(MB)の調達により企業が認証作物を調達しやすくなることから、需要の増加に繋がります。これは、より多くの生産者が、私たちの認証プログラムに関連した社会的・経済的な利点(所得の向上や労働条件の改善を含む)を享受できることを意味しています。生産者にとって重要なことは、彼らのカカオを認証製品として販売することです。販売したカカオがどのチョコレートバーになるかは、生産者にとっては問題ではありません。
レインフォレスト・アライアンスに関する製品文言が信頼できるかどうか、どうすれば確認できますか?
レインフォレスト・アライアンスのトレーサビリティシステムは、 認証マークが表示された製品のために購入された認証原料の量が、実際に認証農場で栽培されたことを保証しているため、マスバランス方式(MB)の調達には信頼性があります。そのため、生産者が認証作物の販売により利益を得ていることを信頼していただけます。
さらに、レインフォレスト・アライアンスの認証マークを表示した製品向けにカカオを販売する国々の生産者をより支援するべく、カカオのオリジン・マッチング(原産国の一致) マスバランス(MB) を導入します。オリジン(原産国)・マスバランス(MB)は、調達の過程で認証カカオが非認証カカオと混合された場合でもその原産国は変わらないことを意味しています。そのため、あるブランドのチョコレートバーにパプアニューギニア産のカカオを使っていると表示されている場合は、そのブランドは製品に必要な量のカカオをパプアニューギニアの認証カカオ農園から購入しなければなりません。オリジン・マッチング(原産国の一致)の目的は生産地域の生産者を支援することです。レインフォレスト・アライアンスは、 新しい持続可能な農業基準の稼働開始とともに、2021年7月からの数年間で完全なオリジン・マッチング(原産国の一致)によるマスバランス方式(MB)へと移行していきます。
レインフォレスト・アライアンス認証の持つ意味 や認証マークの背景についての詳しい情報はこちらをご覧ください。