レインフォレスト・アライアンスの2020持続可能な農業基準では、レインフォレスト・アライアンス認証農作物のバイヤーに対し、サステイナビリティ差額(SD)とサステイナビリティ投資(SI)という2つの財政的要件の概要を説明しています。レインフォレスト・アライアンスが認証する全ての作物に対してこれらの要件が設けられていますが、サプライチェーンの種類によって異なる課題があることを認識し、一部の主要作物には追加の説明を提供しています。
より詳しい情報は、責任の共有 または 2020サプライチェーン向け要件に関するよくある質問に関するウェブサイト記事をご確認ください。
カカオ・プログラム限定の要件
各部門のニーズと業務上の現実に合わせ、前述のような要件に関し個別の状況を考慮する必要があることを認識しています。カカオ・プログラムの要件は、カカオ部門の構造的な不平等、いまだに残る低収入、そして非常に価格に影響を受けやすい市場環境下での価格交渉で生産者が直面する問題に取り組むよう策定されています。
カカオ要件は3段階で導入されます:
第1段階 2020年4月
2020年4月以降、コートジボアールとガーナ産レインフォレスト・アライアンスのカカオを購入している全てのバイヤーに対し認証保有農場に対するプレミアムの支払いが求められるようになります。全てのプレミアム支払い状況は、トレーサビリティ・システム上で報告されなければなりません。この点については農場向け方針およびカカオの生産・流通・加工過程の管理認証要件において定められています。UTZカカオの全バイヤーには、産地を問わず、すでに認証保有農場に対してプレミアムを支払うことが求められていましたが、レインフォレスト・アライアンスのバイヤーにはこれが求められていませんでした。
第2段階 2021年7月
2020持続可能な農業基準に基づく審査が開始される2021年7月以降、認証保有農場および農場団体に投資計画を策定するためのデータと研修を提供します。バイヤーにはサステイナビリティ差額(SD)と合わせてサステイナビリティ投資(SI)を行い、その報告を行っていただくためのデータと研修を提供します。上記に関する遵守状況はいずれも農場とサプライチェーン・レベルの両方での審査を通じて保証されます。サステイナビリティ差額(SD)とサステイナビリティ投資(SI)の要件は、認証保有者の新システム移行に伴い、従来のレインフォレスト・アライアンスおよびUTZプログラムのプレミアム支払い義務にとって代わるものです。プレミアムとサステイナビリティ差額(SD)の違いに関する詳しい情報は、サプライチェーン向け要件に関するよくある質問をご覧ください。
第3段階 2022年7月
サステイナビリティ差額(SD)の最低金額を1トン当たり70ドルに設定します。サステイナビリティ差額(SD)は(トン毎に)全額が生産者に届けられなければならないため、個別の農場/団体構成員のレベルでの当該金額の電子領収証発行状況を監視するためのトレーサビリティ・ツールを本格稼働します。さらに、バイヤーには認証保有農場(団体)のレベルにおけるサステイナビリティ投資(SI)を行うことも求められるようになります。
上記の最低金額は終着点ではありません。私たちはむしろ、この最低金額は生産者の収入と生活レベル向上の重要な要素であり、生活賃金格差を埋めるためのサプライチェーン関係者および生産者とのより幅広い取り組みの一部であると考えています。生産者の生活賃金を確保し、持続可能な生活を可能にするための私たちの取り組みは、生産者のビジネスを成長させ、より高収益で強靭さのあるものになるように支援し、同時に天然資源の保護にも役立つことを重視しています。単なる価格上昇ではなく、長期的な計画と投資が必要です。そのため、レインフォレスト・アライアンスはカカオ部門における持続可能な変化を支えるため、生産者、サプライチェーン、そして政府をつなぐ長期的で体系的な解決策に取り組んでいます。
持続可能なカカオ部門に関する私たちのビジョンは、生産者と認証保有農場(団体)がサプライチェーンにおいて財政的により公平な役割を担う部門とすることです。レインフォレスト・アライアンスの要件はより高い価格での交渉成立を実現するために生産者の能力を強化し、この金額レベルを生産者が実際に獲得できる市場へのアクセスを維持するよう策定されています。これらの要件は、個々の生産者の持続可能な農業への献身的な取り組みに報いること、そして団体レベルにおいて効率的な団体管理の実施に必要な資源へのアクセスを創り出すこと、という両方のニーズに取り組むものです。
最低サステイナビリティ差額(SD)は、固定プレミアムではありません
2022年7月以降、レインフォレスト・アライアンスではカカオ1トンあたり最低70ドルのサステイナビリティ差額(SD)の支払いが必要になります。これはトン毎に個別の生産者に支払われる現金です。サステイナビリティ差額(SD)は、レインフォレスト・アライアンス基準を遵守し農業を営む選択した生産者が受け取る付加的な金額です。この金額をどのように利用するかは生産者次第です。農場への再投資や、家族の必要を満たすため、あるいは他の費用を埋めるために使うこともできます。 生産者が自分で選択する持続可能なシステムを作るうえで、これは極めて重要な点だと私たちは確信しています。
上記サステイナビリティ差額(SD)の支払いに加え、バイヤーは認証保有農場自身が提供する投資計画に基づいて認証保有農場にサステイナビリティ投資(SI)を行うことも求められることとなります。これにより、認証取得と持続可能な農業遂行のために必要な費用を、認証製品の生産・販売によって利益を得るすべての関係者で分担する環境づくりが可能となります。
一部の国々では現在のプレミアム制度において支払われる金額が非現実的なほどに低いという現実に取り組むため、最低サステイナビリティ差額(SD)を導入することとなりました。私たちはこれを70ドルで止めたいとは考えていません。70ドルという最低金額は、受け入れられる最低限のサステイナビリティ差額(SD)とはどの程度の金額なのかを業界関係者に示すことを意図したものです。生産者の持続可能性への取り組みに対し、業界関係者が今後も確実に責任をもってより高いサステイナビリティ差額(SD)で報いるよう、このレベルに最低金額を設定しています。そのため、サステイナビリティ差額(SD)の平均支払い額が1トンあたり70ドル以上になるものと期待しています。
私たちは、透明性を重んじ、平均サステイナビリティ差額(SD)の支払い状況報告書を提供することにより、より高いサステイナビリティ差額(SD)の支払いを推奨していきます。全てのサステイナビリティ差額(SD)支払いが70ドルのレベルに向けて移行していることが確認された場合は、追加の対応を実施します。70ドルは始まりであって、標準ではありません。
最低金額が最高金額となることのないよう関連部門全体に担うべき役割があると確信しており、またそのようなことが起こらないよう全ての人々が責任の共有を認識することを期待しています。
最低サステイナビリティ差額(SD)とサスティナビリティ投資(SI)の関連性
70ドルという最低サステイナビリティ差額(SD)は、レインフォレスト・アライアンス・プログラムが提供する多くの利点のひとつに過ぎません。農場団体および個別の生産者は必須となるサステイナビリティ投資(SI)からも利益を得ます。
現在のUTZプレミアムには、生産者への現金支払いと現金投資の両方が含まれていますが、現物出資は含まれていません。生産者への現金支払い(サステイナビリティ差額:SD)をその他全ての投資とは分けてモニタリングを行っていきます。そして現金での投資と現物支給の投資をひとつのカテゴリー(サステイナビリティ投資:SI)に統合します。
現金支払いを投資から分けることで、市場が確実に個別の生産者に報酬を与え、かつ農業をプロフェッショナルな方法で行うために団体レベルで必要とする投資にも貢献することを目指しています。サステイナビリティ投資(SI)は生産者団体が作成した投資計画に基づくものとなり、このシステムを通じて私たちは個別の生産者が認証製品のバイヤーと投資の特定や交渉をできる力をつけてもらいたいと考えています。
私たちのビジョンは、生産者と認証保有農場(団体)がサプライチェーンにおいて、より公平な役割を担うようにすることです。私たちはサプライチェーンにおける生産者の声を大きく強いものにしていきます。
質問と回答
価格とプレミアムに関するご質問は2020サプライチェーン向け要件よくある質問 をご参照ください。