より持続可能な農業の実現に向けては、生産者だけでなく、サプライチェーン上の企業全体で、責任ある商慣行を促進していく必要があります。さらにその効果を高めるためには、商品を購入する消費者に対し、企業の取組を伝え、持続可能な未来に向けた選択を促していくことも重要です。商品へのレインフォレスト・アライアンス認証マークの使用や、ウェブサイト、店頭での取組紹介は、多くの企業が行っており、消費者に広くアピールする効果的な方法です。一方、こうした方法に加え、持続可能性に敏感な次世代に自社の取組をより深く知ってもらい、主体的な行動変容を促している企業もあります。
キリンホールディングス株式会社様がその一例です。同社とグループ会社のキリンビバレッジ株式会社は、レインフォレスト・アライアンスを通じて、スリランカとベトナムの農場に対する認証取得支援や水源の保全、生物多様性の保全などに取り組んでおり、認証茶葉を使用した飲料の販売も行っています。同社は、こども国連環境会議推進協会とともに「キリン・スクール・チャレンジ」を開催し、次世代を担う中高生を対象として、持続可能性の実現に向けて一人ひとりがとるべき行動について、参加した子どもたちが主体的に考え、発信する機会を提供しています。
2023年3月31日に、約20名の中高生が参加した「キリン・スクール・チャレンジ」が開催されました。ワークショップのテーマは、「つながっている、わたしたちと世界」。中高生がグループに分かれ議論して、同世代に伝えるための50文字の文章と写真を制作します。
参加者たちは、事前のビデオ講義を通じ、レインフォレスト・アライアンス認証の仕組みや意義、キリンホールディングス株式会社のビジョンや取組について学んだ上での参加となります。当日はお互いの感想や疑問を共有し、レインフォレスト・アライアンスとキリンホールディングス株式会社の講演者に直接質問を行いました。
講義や質問を通して得た知識を元に、参加した中高生たちが制作したメッセージと写真は、こども国連環境会議推進協会のツイッターで紹介され、より多くリツイートされたグループが後日表彰されます。参加者たちは、自分たちが理解した情報の中で、最も伝えたいことは何か、どのようなメッセージ、写真であれば伝わるか、リツイートしてもらうにはどうすれば良いか話し合い、作品を作り上げました。
持続可能な世界の実現に向けた企業の取組を消費者に届けるには、さまざまな方法があります。キリン・スクール・チャレンジでは、企業の取組を知った中高生が、対話を通じて理解を深め、自分たちの言葉で発信することにより、参加した子どもたち自身はもちろんのこと、メッセージを受け取る側の行動変容も期待できます。企業の皆様が消費者コミュニケーションに取り組まれる際に、こうした事例も参考にしてみてはいかがでしょうか。