レインフォレスト・アライアンスとUTZのコーヒー、カカオ、茶類、バナナを対象とした認証プログラムの最新データをまとめた認証データ報告書の2021年版が発行されました。報告書の概要は以下のとおりです。また、下記のリンクから農作物ごとの年次データ報告書をダウンロードして、詳細な情報、図解、データ、グラフをご覧いただけます。
レインフォレスト・アライアンスとUTZが2018年に合併したのを受けて、2021年に新しいプロフラムへの移行を開始しました。UTZプログラムとレインフォレスト・アライアンス2017認証プログラムというこれまでの2つの認証プログラムから、統一的なレインフォレスト・アライアンス2020認証プログラムへの移行です。このため最新の報告書では、農作物ごとの移行スケジュールを鑑みて、関連性の高いプログラムからの2021年の数値を報告しています。
- カカオ、コーヒーおよび茶類の数値は、UTZプログラムとレインフォレスト・アライアンス2017認証プログラムの数値です。
- バナナの数値は、レインフォレスト・アライアンス2017認証プログラムの数値です。
- すべての報告書で、次のデータを考慮しました。(i)2021年12月31日時点で有効なライセンスまたは認証を保持している認証保有農場、および(ii)2021年にライセンスが失効したものの、レインフォレスト・アライアンス2020認証プログラムに正式に登録済みの認証保有農場。必要に応じて、再認証や登録の有無を認証機関に確認しました。
- 計算に使用したデータは、私たちのトレーサビリティ・プラットフォームであるマルチトレース、グッドインサイド・ポータル(UTZプログラム)、マーケットプレイスおよびセールスフォース(レインフォレスト・アライアンス2017認証プログラム)から取得しました。
- UTZプログラムとレインフォレスト・アライアンス2017認証プログラムの数値は別々に報告していますが、生産国と生産者の数、および土地面積に関しては合計数値を記載しています。
カカオ
全体として2021年は、認証カカオに対する市場の需要が世界的に安定していました。アフリカでは、カカオ保証計画の効果が引き続き見られました。これは、カカオに関する私たちの活動をコートジボワール、ガーナ、ナイジェリア、カメルーンの全域で強化するための野心的な一連の方策です。具体的には、GPSの位置情報データの要件を今までよりも厳しくしたほか、UTZとレインフォレスト・アライアンスの重複認証を禁止するといった方策を実施しました。この結果、この地域の認証カカオの生産量が減少しました。とはいえ、需要が引き続きアフリカ全域で着実に成長したことから、認証カカオの生産と販売の整合性が改善し、全体として需給率が高くなりました。
ラテンアメリカでは、認証カカオの生産量がわずかに減少した一方で、需要量は増加しました。アジアでは、認証カカオの生産量が増加した一方で、需要量は減少しました。
認証作物の生産量と需要量に見られたこれらの地域的な変化は、マスバランスの原産国の一致(オリジンマッチング)を導入したことに一部起因していると思われます。また、新型コロナウイルス感染症の継続的な影響も一因になりました。さらに、レインフォレスト・アライアンス2020認証プログラムへの移行がこれらの数量にいくらかの影響を及ぼしたことが考えられます。この移行の結果は、2022年のデータに表れるでしょう。
コーヒー
2021年、UTZおよびレインフォレスト・アライアンスのコーヒー認証プログラムは、全体として前年からの成長基調を継続しました。ただし、推定生産量をプログラム別に見ると、レインフォレスト・アライアンス2017認証プログラムは10%増となった一方で、UTZプログラムは横ばいでした。どちらのプログラムも、生産者数と認証コーヒーの作付面積は増加しました。しかし、認証保有者数では、レインフォレスト・アライアンス認証プログラムが増加したのに対し、UTZプログラムは減少しました。
市場からの需要という点では、全世界の生産者販売量がUTZプログラムは7%減となった一方で、レインフォレスト・アライアンス(2017)認証プログラムは9%増でした。これは、販売数量は穏やかな成長を見せたものの、両プログラムを総合して考慮した場合の総販売量は2020年と比べて1%の減少となったことを意味します。
茶類
レインフォレスト・アライアンスの茶類のプログラムは、2021年、ほぼすべての指標で成長を示しました。茶類の業界に全体として大きな逆風が吹いた一年だったにもかかわらず(生産者の投入コスト増、輸出業者の輸送コスト増、外食店での茶の消費減などがありました)、レインフォレスト・アライアンス認証プログラムでは、全世界の総作付面積が70万ヘクタール近くに増加しました。また、認証プログラムの生産者も増加し、100万人超に達しました。
逆に、レインフォレスト・アライアンス認証農園の労働者は10%以上の減少で、71万2,000人となりました。これには複数の要因がありますが(2021年に一部の生産者の認証ステータスが変更されました)、最大の要因は、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴って移動制限や他のリスクが浮上し、労働者の雇用に困難が生じたことだと思われます。
レインフォレスト・アライアンス2020認証プログラムへの移行の結果として予期されたことではありましたが、2021年には、UTZの茶類のプログラムが引き続き縮小しました。全体的な生産量は増加したものの、国別の内訳では、マラウイ、インドネシア、トルコで相当量の減少が見られました。
バナナ
レインフォレスト・アライアンスのバナナの認証プログラムは、2021年も引き続き複数の指標で成長が見られました。新型コロナウイルス感染症の影響継続やコスト増など、業界は多数の深刻な課題に見舞われましたが、認証作物の生産量は950万トン近くに増加しました。農園数は2,500以上に増加し、面積では25万ヘクタール弱に達しています。
同様に、認証プログラムに参加するサプライチェーン関係者も3%の増加となりました。2021年の世界販売高は、2022年7月に公表予定です。